暑さが和らぎ、秋の味覚が楽しめる季節になってきましたね。９月は“食欲の秋”の入り口でもありますが、美味しい食べ物を味わい、栄養素をしっかりと体に取り入れるために欠かせないのが「噛む力」です。今月は、この「噛む力」に注目して、お口の健康と全身のつながりについて学んでみましょう。

▶︎「噛む力」とは
噛む力とは、食べ物を細かく砕き、飲み込みやすい形にする力のことです。健康な歯とあご、そして舌や頬の動きが協調して働くことで、私たちは快適に食事を楽しむことができます。

しっかり噛めることで──
・食材を細かくし、消化を助ける
・唾液が多く分泌され、虫歯や歯周病の予防につながる
・噛む刺激が脳に伝わり、集中力や記憶力を高める
・満腹中枢が働き、食べすぎを防ぐ
・さまざまな食材を食べられることで、栄養バランスが整う
　

逆に、噛む力が弱まると──
・硬いものが食べにくくなり、やわらかく糖質の多い食品に偏りがちになる
・飲み込みにくさから食欲が落ち、栄養不足につながる
・会話や表情の豊かさが減り、生活の質が低下することもあります
　

▶︎ どれくらい噛めばいいの？
理想は「一口30回」が目安と言われています。噛む回数が少ない方は、ぜひ30回噛んで、食べ物がお口の中でしっかり噛み砕かれている状態を感じてみましょう。トマトなど柔らかいものは30回噛まなくても柔らかく噛み砕かれますので、食べ物の形状で感覚を掴むといいでしょう。しっかり噛むことで、食べ物の味をより感じられるだけでなく、胃や腸の負担を軽くし、消化吸収をスムーズにします。

▶︎ 噛む力を鍛えるトレーニング
噛む力は、日常生活の中で鍛えることもできます。以下のことをやってみましょう！
・硬めの野菜（にんじん・ごぼう・れんこんなど）を意識して取り入れる
・「あいうべ体操」で舌や口周りの筋肉を動かす
（口を大きく「あ・い・う・べ」と発音するだけでも効果的です）

これらは噛む力だけでなく、飲み込みや発声の機能維持にもつながります。

▶︎噛む力を保つためにできること
歯を失わず、しっかり噛む力を保つには「日々のケア」と「歯科でのチェック」の両方を維持することが大切です。

・毎日の歯みがき（1日2回以上・フッ素入り歯みがき粉を活用）
・歯間ブラシやフロスで歯と歯の間も清潔に
・定期検診で噛む力を妨げる虫歯や歯周病を早期発見・早期治療
・入れ歯やインプラントも、定期的な調整で快適に使えるようにする

▶︎まとめ：美味しい秋を楽しむために
美味しい食材を味わえる実りの秋だからこそ、噛めることの素晴らしさに思いを馳せ、噛む力を大切にする意識を持つようにしましょう。そして一生食べることを楽しみ、健康な心身を維持するために、毎日のケアとプロによる定期検診を欠かさないようにしましょうね😊